~前書き:スパイクな私からの謝罪と言い訳~

誰に対しての謝罪なのか。答えは明白だ。8rackと件のお店の店長(正確に言えば元店長)にだ。私がmtgで最も使ったデッキは何か?1番苦楽を共にした相棒とはなんなのか?私のツイッターのアイコン、そして固定ツイートのデッキリストからも分かるだろう。8rackだ。これは件のお店でmtgを楽しんだ知人友人に質問してもほぼほぼ間違いないだろう。

では何故二周忌の記事で8rackではなくデス&タックスを取り扱ったのか。理由は大きく2つある。

1つは私自身の自己顕示欲の高さだ。外見上そんな風には見えてないのかもしれないが、私は記事投稿後の閲覧数の伸びなどをちょこちょこ気にしてしまう人間だ。引くかもしれないがメタ的な(カードゲームの記事書くのにこの単語使うのはホントどうかしてる)発言をすればこんな回りくどい文章を書くのも、私が投稿する記事のアイデンティティを作る一環としてそうしているだけであり、現実の私は一般的な挨拶、相づちと「やばい」「マジで」「すごい」「うん○」「○んこ」と適切な語尾だけで大抵の会話を成立させている人間だ。そんな私が普通に記事を作るならデッキリストと単純な動かし方(先手ノーマリガンのブン回り)だけ書いて終わる。それをあの手この手で引き延ばして引き延ばして、元から出がらしの紅茶くらいの内容をなんとかA3用紙いっぱいにまで広げてほんのり色付けて「どうですか?凄いでしょ?」とひらひらと見せびらかしているのだ。

それが有名な強豪プレイヤーやそのアーキタイプの草分け的存在の記事ならまだ見る価値はあるだろう。そのアーキタイプに対する自分の考え方を修正する機会となるし、新たな知見の獲得に繋がる。しかしだ、私は強豪プレイヤーでもなければ草分け的存在でもない。【あくまでメモ書き】なんて言葉でお茶を濁して、それっぽい言葉を並べて、なんとたちの悪い一般人だろう。といいながら今回も堂々とタイトルに入れている辺り、反省の余地は無いようだな。此処が司法の場なら貴様はこれから裁かれるぞ。

何が言いたいかというと、Seagal氏やヅダの人のDN閲覧数がとても羨ましく見えたので、私はこんな長ったらしい文章を何個も書いている。そしてそれを稼ぐために、比較して人気のあるデスタクの方を記事にしたのだ。なんと小ずるい奴だ。そして自身の自己顕示欲のせいと、のたまっておきながら他人の名前を出してなすりつけるのも本当にダメな奴だ。

気を取り直して、もう1つは、というかこれがもうほとんど全てなのだが、8rack自体が私にとって思い出になりつつあるのだ。件のお店で最も握ったこのデッキは、今の最寄りのカードショップではほとんど使っていない(恐らく最後に使ったのは暗殺者の戦利品が出たときなので実に二年以上の時が経ったことになる、一応新弾が出る度に使えそうなカードは一人回しなどでテストプレイを繰り返している)。

私がmtgを始めて2ヶ月ぐらいから握り始めたデッキでもあるため、最序盤の戦績も含めればトータルで負け越しているのだが、私の初めてのモダンは8rackであり、初めての全国規模のイベントに参加したのも8rackであり、mtgプレイヤーとして最も苦楽を共にしたデッキは8rackで間違いないのだ。こんな偏屈なデッキ(褒め言葉)ばかり握り倒す私を、温かく迎え入れてくれた件のお店のコミュニティには感謝しかない。私にとって黒単8rackとは件のお店での思い出が詰まったアルバムでもあるのだ。真剣に楽しく、ティミーに、ジョニーに、スパイクに過ごしたあの日々の1シーン1シーンが、半年ぶりに開いたこの緑のアルティメットガード製デッキケースから出てくる黒いカード達の回し方を今も教えてくれる。

ただ、いやだからこそ、私にとって8rackは良くも悪くもアルバムになってしまっている。運営サイドの舵切りの影響なのか、近頃のハンデスカードは基本3マナ、2マナピーピングハンデスなら何かしらのデメリット持ち、そんなものばかりで一向にリストが変わらない。それにあぐらをかいて、ほとんど当時のまま残している。そんな怠惰こそがこのデッキをデッキではない別の何かにしてしまっている。新弾が発売される度に環境は姿形を変えていくのに、何故私の8rackだけが形を変えていない?

地球が自転公転を繰り返し、日々全ての産業が日進月歩し、人間が生物として老いを避けられないからこそ、現状維持などこの世界にはない、退化と同義だ。他のデッキにうつつを抜かしている間に時代に取り残され化石になったこの8rackを、私はアップデートしなければならない。それは件のお店に通ってた頃私がほぼ毎日やってきた、そしてあの日から約二年、いつからか行うことのなくなった8rackの環境最適化というルーティンなのである。もはやルーティンと呼べなくなったこの行為を、今年の禊ぎとして行っていきたい。いや、行わなくてはならない。こんなニッチで取れ高が一切ない、所謂動画映えしない(YouTube全盛の時代に最もそぐわない)アーキタイプにどれほどの需要があるかなどたかが知れている。だからこそこのアーキタイプを愛した人間の一人として、どんな環境でも戦えるということを証明したい。

~本編への導入:8rackとは~
8rackという呼び名は現代ではやや古い、もしくは大枠のカテゴリーの中からさらに細分化されたアーキタイプとして捉えられることになるだろう。これは興味のない人からすれば赤緑ポンザとグルールムーンの違いを述べよといわれたときぐらい細かな違いになるのだろうが、その点も含めて簡単に紹介をしておこう。何故なら例示した赤緑ポンザやグルールムーンより明らかにTierが下だからだ。

より現代的な大枠のアーキタイプとしては【小悪疫】というカテゴリーに分類される。これはデッキに入るカードの名前をそのまま切り取っているだけなのだが、それだけ強力なカードであることだけ本項では覚えて貰えれば十分だ。追々説明せざるを得なくなる。

このカテゴリーの中にはさらに[白黒トークン]と[メガハンデス]という2種が存在する。[黒赤無駄省き]というかなり近い性能を持ったアーキタイプも存在するのだが、そちらとは戦い方の組み立て方が1から異なるため今回は割愛する(一応試してはいます)。

[白黒トークン]については何となく想像がつくかもしれない。その名の通りトークンを展開して戦うデッキである。苦花や未練ある魂といった所謂フェアデッキが苦手とするカードを多用して消耗戦に持ち込んで勝つというデッキだ。

一方で[メガハンデス]はトークンの代わりに、一定条件下でダメージ若しくはライフロスを誘発する置物(これらのことをrackと呼ぶ、語源は最初期からある置物の拷問台から)、若しくは恐血鬼のような墓地からの帰還能力に優れたクリーチャー等によって相手のライフを0にすることを目標としている。そして前者ではその条件である「相手の手札がX枚以下」の達成のため、後者では相手の応手を封じる為に、ハンデスカードを大量投入している。そしてその前者の方を[8rack]と称している。

3点お伝えしておくと、これらはどちらかが優れている劣っているというわけではなく、それぞれに得手不得手があることを忘れないで欲しい。そしてどちらもトロン系のデッキはとてつもなく苦手ということも忘れないで欲しい。また、これらはどちらかを成立させるために片方を犠牲にする必要がない、つまり両立させたハイブリッド型の構築も可能であることも覚えておいて欲しい。

今回アップデートしていくのは[8rack]である。ただ、これがまた非常にやっかいなのだが、このデッキはハンデスと除去によるボードコントロールデッキなのか、はたまた前述したrackによるバーン系デッキなのか、区別がつかないのだ。

否、厳密に言えば人によって答えが分かれる。握り手側がどう捉えているかで構築も変わるし、ゲーム中の考え方も変わる。故に某サイトのデッキリストを見て予想されうる動きと、別な方が投稿している考察記事(これでも一応著名な方が記事を執筆されていたりする)で書いてある動きがちぐはぐになったりする。どんなデッキであれ、適切なプレイングが出来なければ強くは無い。この2つの考え方の長短を理解しておかなければ、どうプレイするのが正しいのか判別できない。差異を明確にするために、それぞれの考え方を示しておこう。

~本編①:ボードコントロールとしての8rack~

前置きとして、ボードコントロール・rackによるバーン、どちらの考え方であっても、最終的な着地点は、「相手が満足に動けなくなった状態で、rackがチマチマとライフを削っていって勝つ」ということだ。そこまでのプロセスとして考えていく。

8rackをボードコントロールとして捉える場合、黒にかなり多くの比重をかけている点を考慮しても、最も大切だと思われる考え方は『タップアウト・コントロール』だ。対戦相手の出したクリーチャーに対して、自分のターン中に明確な回答を使って処理をする。インスタントタイミングがあるこのTCGにとって、ソーサリーというカードは1対多が取れるようなよほど強力なもの、または他では代替えの効かない性能、性質なものでなければ、使い勝手の面で敬遠されがちであるが、このアーキタイプでは構造上ソーサリータイミングで処理を行う場面が圧倒的に多い。なぜならこのアーキタイプではコントロールとしては他では考えられないくらい、多くのソーサリータイミングの呪文を搭載しなければならないからだ。

まずダメージソースとなるrack系についてだが、このアーキタイプとなっている2種を簡単な説明を含めて列挙する

拷問台:アーティファクト、1マナ、対戦相手のアップキープに3-相手の手札の枚数分ダメージ、0以下はダメージなし
金切り声の苦悶:エンチャント、黒マナ、各対戦相手のアップキープに手札が1枚以下なら3点ライフロス

これら2種、またはこれらの亜種やリリアナの愛撫など、カードを捨てることで能力を誘発させるカードについても、現時点で実用される全てのカードがソーサリータイミングの置物である。

次にこのアーキタイプの根幹となるパーツである手札破壊カードであるが、思考囲い、コジレックの審問といったピーピングハンデスは現時点で実用に耐えうる全てのカードがソーサリーである。また、墓地から回顧できるカラスの罪、2000年代のヒムこと精神ねじ切りといった、モダンではほぼこのデッキにしか入らなそうなハンデスカードもソーサリーである。

そしてこのカテゴリーの名前になっている小悪疫もソーサリー。また、全ての能力が噛み合う高額PWババア(褒め言葉)ことヴェールのリリアナもソーサリータイミングの置物。

お分かり頂けるだろうか、此処までに上げた8種類のカードを4枚投入すると既に32枚のスロットをソーサリータイミングのスペルに割いたことになる(後適当に1~2マナで打てる除去を4~8枚入れるだけでも十分成立するデッキだと補足しておく)。人によって細かな微調整はあるものの、この段階で大体3/4以上のカードがソーサリータイミングのスペルになる。悪い言い方をすればインスタントタイミングで動きたくても動けない場面が圧倒的に多いのだ。

それ故にパーミッションのように対戦相手の動きに即座に対応する能力はそこまで必要ない。出てきたものに対して適切に除去を当てていけば自ずと消耗戦の様相を呈していく。こちらが対応しにくいエンチャントやアーティファクト、PWといった生物以外の置物に対してはピーピングハンデスが活きてくるし、ピーピングハンデスの性質上、相手の手札を確認した上でこちらのゲームプランを組み立てていくことが出来る(重要)。勿論明確な欠点もあり、今引きのカードには対応しにくい、所謂トップ解決の芽だけは摘めない。それを極力押さえ込むためのカードとして、小悪疫というカードが光るのだ。

小悪疫の能力が分からない人のために説明すると
①お互い1点ライフロス
②お互い1枚カードを捨てる
③お互いクリーチャーを1体生け贄
④お互い土地を1つ生け贄
をこの順番で行っていく(重要)

小悪疫をこちらが使っているという性質上、基本的には2±α(使った小悪疫と土地+手札or盤面の生物)以上対Xの交換になるのだが、このXの値を自分の損失より大きくすることで相対的なアドバンテージとテンポロスを発生させる。特に土地を減らせることが有用で、後半起こりうるトップ解決の可能性を少なくすることが出来る。

また、自身の損失を±としたのは、小悪疫で捨てるor生け贄にするカードを、フラッシュバックや回顧、発掘やトロウケアの敷石など、損失が少ない、若しくは墓地でも利用できるカードにしておくことで対策できるからだ。

最終的には相手は手札を抱えておかないとダメージを貰うが盤面のカードではこちらのライフを詰めることが出来ない、という状況にするのが理想だ。この点も次項で説明する、rackによるバーンとして捉えた場合の理想像である。

~本編②:rackによるバーンとしての8rack~

こちらではrackによるバーンとしての側面を解説していくが、8rackが本家本元であるバーンと明確に違うのはクロックとハンデスの完全分業制になっているということである。rackは効率の良いダメージソースではあるが、それは一定条件下での話である。ボードコントロールとして捉えた場合は消耗戦にもつれ込ませることでその条件下に持ち込ませていたが、こちらではその条件をいかに速く成立させることを念頭に置いて淡々とハンデスをしていく。

そのために必要なのが1対2以上の交換になるカードの存在である。ハンデスカードは基本的に1対1の交換になるのだが、一枚で2枚以上の損失を与えるカードも一定数存在している。構築に採用実績のあるものをいくつか上げると、前述の小悪疫、アーティファクト以外のカードを二枚捨てさせる精神ねじ切り、そしてお互い3ディスカードというとち狂った性能をしている狂乱病のもつれ、等だ。多色を視野に入れるなら荒廃稲妻も該当するだろう。

バーンとして捉えたときに必要な考え方は『いかに素早く対戦相手のハンドをrackの条件下に置くか』である。カードを展開して勝負をするゲームである以上、対戦相手も手札がなければこちらを攻めることが出来ない。ゲームの最序盤から効率的に相手のハンドを空にすることを目標に動き、相手のゲームプランを根本から瓦解させる。お互い手札が空になったところでrackによってダメージを与え続けて勝利、といった流れだ。

この考え方を極限まで煮詰めると、除去を小悪疫とヴェールのリリアナに任せ、他はrackとハンデスカードという構築で成立させるのが理想的な形になる。相手のクロックに対応するだけの除去や、罠の橋といった攻撃制限の置物もノイズでしかない。キープ時点の土地枚数さえ間違えなければ、4ターン目に入る頃には自分も相手もハンドレスになっているだろう。対戦相手に「つまんねーよ」といわれてもそれがこの考え方の極地なのだからそれすらも愉しもう。

※とはいってもハンデスだけで勝てるほど単純なゲームは中々ないので、現実的には数枚の除去カードや罠の橋を採用することになるが、8rackがブン回りしたときに最も手札に腐るカードは除去や罠の橋といったクリーチャーをメタるカードである。

素早くゲームを決めるのが好きな人にはこちらの考え方が性に合っているかもしれないが、尖った構築になる分欠点も浮き彫りになる。それが

①rackを置けないとプレッシャーを与えられない
②終盤のハンデスカードは悉く腐る

という二点だ。明確なキープ基準を自分の中で設定しておくことが大切になる。8枚入ってるからその内引くだろうと安易に考えてはいけない。ドロースペルのない2-3ターンは気が遠くなるほど長く、カラスの罪が墓地に落ちなかったとき、rackが成立する条件の賞味期限は思ったより短い。

これらの考え方を踏まえた上で、双方に共通して気をつけなければならないことは、前回のデスタクとは異なりゲームプランの変更がほとんど効かない、という点だ。というのも、双方とも最序盤からやることがほとんど決まっており、後半の流れもほぼ決まっている。相手によって捨てさせるカードの優先順位が変わるだけで、ライフの詰め方さえ覚えれば一通り回せるようにはなる。前回と比べてやっていること自体は至極簡潔なのだ。その分取り回しが効かないカードが多く、プレイの優先順位には気をつける必要がある。大切なのは「自分より相手の方が苦しくなる」ようにカードをプレイしていくことだ。


~閑話休題:8rackは先手?後手?~

少し閑話休題になってしまうが、8rackには「後手の方が強い」という、高速化激しい下環境はおろか、スタンダードでも滅多に聞くことのない説が存在する。これについてはある程度mtgに触れてきており、カードゲームIQが高い人なら察することが出来るだろう。

8rackが勝つための第一目標は対戦相手のハンドをrackの条件下にすることである。そのために、ゲームは7対8の手札からスタートするより、8対6から始めた方が達成しやすい、という理論である。これについては理論として間違ってはおらず、非常に合理的と言える。

が、しかしそれは対戦相手に先手を与える。つまり1ターン分のテンポを与えている。先手後手の差で勝ち負けが変わるカードゲームで、理論のために貴重なテンポを割く必要があるのだろうか?

私の結論はこうだ。
①ボードコントロールがしたいなら先手、どっちにしろ消耗戦にしたいなら1ターンのテンポは欲しいしボードコントロール寄りの構築になると全体的に重めになるので、先に土地を伸ばしたい。罠の橋で盤面止めたいときも先手、意外と着地して2-3ターン機能しないときはある。
②精神ねじ切りや狂乱病のもつれ等、1対2、2対3以上のカードをゴリゴリにぶち込むなら先手でも後手でも良い
③兎に角rackで早期にダメージを与えたいなら後手。理論と共に突き抜けろ
④トップ解決されるのは諦めろ

である。これはどれが正しい正しくないではなく、個々人の性格やプレイスキルによって良い悪いを決めるべきだと思う。ちなみにカードゲーム初心者に8rackを薦めるという奇抜すぎるカルトがあるのなら、私は、間違いなく②を薦める。余計なことなど考えず、二枚ハンデスの快感やrack二枚貼りのゴリゴリライフが削れる様を見て脳汁が出るようになって欲しい。私は小悪疫で1対3交換すると脳汁が止まらない身体になってしまった。

お茶を濁したところで、ではこれから、現代のモダン環境でどの位立ち回れるのかを考えていこう。

~本編③:現代モダン環境での立ち位置~

モダン環境は日々目まぐるしく変わるフォーマットだ。今日のトップメタをメタったところで一週間後も同じ構成で勝てるとは限らない。それ故に予想されうる相手には立ち向かえる、若しくは負け試合と切ってしまう構成が重要となる。

それを理解した上でモダン環境での立ち位置を考えると、ボードコントロールとしても、バーンとしても

①コンボにめっぽう強く
②トロンにめっぼう弱く
③そのままだと墓地利用に弱く
④スカイクレイブの亡霊に弱く
⑤高速アグロや面展開に弱い

という感じである。こうして並べると欠点だらけのように見えるが、それぞれについて見直していこう。

①コンボにめっぽう強く
先攻1ショットキルでもされない限り後手で十分間に合う位にはコンボに対しては強い。神聖の力線というキラーカードをもたれていなければ、ストームにも、ヴァラクートにも、アドグレイスにも五分以上に戦える。

②トロンにめっぽう弱く
これに関しては仕方がない。消耗戦に持ち込む都合上どうしてもトロン完成は避けられないし、トップで解決されるパターンが圧倒的に多い。キャントリップやPigによるドローが豊富で、手札枚数があまり変わらないのも逆風。これに関してはよっぽどメタ上に多く存在しない限りは切っても良いかもしれない。

③そのままだと墓地利用に弱く
これも構造上仕方がない。対戦相手の手札を空にするのが目標なのだから、墓地の方が仕事するカードも落とさざるをえないのだ、特に厳しいのはウーロで、ライフゲインによる延命と1ドロー、ランパンとこちらのやって欲しくないことを淡々としてくる上に消耗戦になると帰ってくるからたちが悪い。ちなみに8rackが1番嫌いなクリーチャーは永遠の証人やキャントリップ持ちのような、場に出たのに手札が減らない打点である。ただし、これについてはこちらも織り込み済みのため、メインから墓地対策を採用するなど、ある程度構築の上で対策を立てれば問題ない。キープさえ間違ってなければ、対戦相手の墓地にカードがたまっていないことの方が稀なため、虚無の呪文爆弾のような何かしらおまけのついた墓地対策はメインでも採用価値があるだろう。

④スカイクレイブの亡霊に弱く
もう単体のカード名出してしまったが、コイツの採用が検討されるデッキへの耐性がグッと下がってしまった。理由は明確でメインから罠の橋を割りに来るから。罠の橋でなくとも、ダメージソースであるrackやヴェールのリリアナといったPWに対しても刺さるカードであり、要は相手にしてみれば腐る場面の少ない、今引きしたいカードになるのだ。バーンとして捉えた際の解説で2-3ターンが気が遠くなるほど長く感じると言ったが、まさしく我々の気を遠くさせるカードがコイツなのである。デスタクの時は使い倒すが相手どったときには(せめて返せよ、、)とひしひしと思っている。とはいえこちらも除去スペルを増やす、罠の橋を減量し全体除去を増やすことで応対可能ではある。コイツ自体も3マナであるため、初手にあるようなら邪魔にならない内にハンデスで抜いてしまうのも手だ。

⑤高速アグロや面展開に比較的弱い
これはアーキタイプ上仕方がないことであるが、高速アグロやバーンの展開の速さに対して、rackではダメージレースにならず、面展開は小悪疫やヴェールのリリアナの-2能力を弱くさせる。これは私が握る前からの課題であり、面展開への解答のために罠の橋を採用しているし、高速アグロに対しては非常に原始的ではあるがライフゲインによる対策カードを採用して対応している。


とそれぞれ、得手不得手を理解した上である程度対策を取っていたり諦めていたりする(トロンを、諦めるなよ!!)。では特に何を意識してアップデートしていかなければならないのか、それは③だ。


ここ数年の新弾は悉く下環境をメッタメタのギッタギタにしてきており、相棒のルール改変までにどれだけのmtgプレイヤーが足を洗っていったことか、想像出来る方は想像出来るだろう。そして誰のことをいっているかも分かるだろう。あなたですよウーロさん。

というわけで墓地利用にいかに対応出来るようにするかが焦点となる。

~本編④:相手の墓地利用を咎める~

前項で述べたとおり、8rackを回してて相手の墓地がたまらないなら、それはRIPやこちらの虚空の力線などが置かれているか、相手に神聖の力線を置かれているかである。

故に青黒LOのように、環境が墓地利用に染まってなくとも墓地対策を一定数(とはいっても1-2枚)積んでおくことが許される。勿論効かない相手には不要牌になる可能性があるが、別な能力も有る、もしくはそれを差し引いても利便性に富んでいるかが採用の基準となるだろう。以上のことを踏まえて採用されうる墓地対策カードを解説する前に、メインでは採用に値しないカードを紹介する

・安らかなる眠り
白を絡めた場合最強の墓地対策の一角と名乗って良いカードではあるが、こちらの墓地を追放するのがマイナスポイント高い。カラスの罪を回顧で唱えられることがこのアーキタイプの強みだからだ。

・虚空の力線
現代にホガークが帰還したら採用を検討しよう。サイドカードとしては最強の1つではあるが、圧倒的に腐る場面が多く、後引きで最も困るカードになってしまう。どうしても墓地利用デッキが許せないなら入れてみるのも良いだろう。保証はしない。

これらから分かることとして
①自分の墓地を追放しない
②今引きで有効に使える
という二点が採用に値するカードとなる。つまり、大祖始の遺産や屍肉あさりの地のような起動でお互いの墓地を追放するカードは採用に値しない。その点を踏まえつつ採用されうるカードはこれらだ。

1:ボジューカの沼
出たときに仕事をするタイプの墓地対策。墓地を追放する以外の仕事はしないのだが、土地のスロットに入れられることが強みで、具を少なくしたくない人にはオススメできる。タップインなのがテンポ的に少し痛いか。

2:トーモッドの墓所
言わずとしれた0マナ墓地対策。これもボジューカの沼同様墓地対策以外の使い道が無いのだが、圧倒的に軽いというメリットは無視できない。土地を20枚前後まで切り詰めてハンデス詰め込むのであればオススメできる。

3:虚無の呪文爆弾
やってることはトーモッドの墓所と同じだがこちらは唱えるのに1マナかかる。その代わり起動に黒を足すとドローに変換できる点が魅力。引き増しがやや苦手なアーキタイプでもあるので、その点は高く評価したい。元の起動がタップのみなので予期せぬ事態にも対応可能。再録もあってかなり安いので、これから8rack作りたいなら確実に推すのはこれ、サイドまで含めるとデッキを解体する日まで残ってる可能性が十分ある一枚。

4:魂標ランタン
ジェネリック大祖始ではないぞ。これが採用に値すのは
・出たときに最低限仕事をする
・タップのみで相手の墓地だけ追放できる
・1マナドローに変換できる
の三点が丁度良くかみ合ってるからだ。ウーロだけ追放したいとか、ドローしたいとか、意外と活躍の場は広い。虚無の呪文爆弾と違うのは、単体で墓地対策を2回行える点だろう。使い切りでない点を評価したい。

5:外科的摘出
雑にサイドボードに仕込まれるランキング上位のこちらもメイン採用候補。上記までと違う点は、コイツ自体がハンデスになる可能性を持ってること。手札に同名カードがだぶつくような、金太郎飴みたいなデッキにはめっぽう強い。あと壊れ能力のΦマナで打てるのも魅力。過信だけはしてはいけない。地味にトロン土地を追放して成立阻止させるという最も苦手な相手に対する解答でもあったりする。そんなことしたいならランデスを入れよう

6:根絶
やってることは外科的摘出と変わらないが、Φマナで打てなくなった代わりに呪文で打ち消されなくなった。その点は優秀だが普通にチャリスには引っかかるので過信だけはしてはいけない(二回目)。あと、確率論は個人的に好きではないのだが、キーカード四枚抜いたら相手が土地引き始めて結果的にトップ解決された、はこの手のカードあるあるなので悪しからず。

7:塵へのしがみつき
上記6種と比べて圧倒的に範囲が狭いのだが、追放するカードによって回復かドローか選べるのが他にはない魅力。状況に応じて適切なカードを追放するために使うのか、延命のために使うのか、ドローのために使うのか、少し頭は使う。そして脱出がついているので、消耗戦になったときに墓地からも唱えられるのは魅力的だ。間違ってカラスの罪やダクムーアの回収場まで追放しないようにしよう。


これら7種が、私が思い浮かぶメイン採用可能な墓地対策候補だ。どれも一長一短あるので、効果の気に入ったものを入れるで良いのかもしれないが、環境と、8rackの立ち位置を見て、墓地対策は全追放なのか、特定のカードを抜くべきなのか。

その人の地区によって差が出るため、断言は出来ないが、現環境なら墓地に落としたウーロを追放できたら御の字だろう。故に墓地は全追放しなくても特定のカードを追放できれば良いと思う。代わりに、アドバンテージの取れるカードが欲しいところだ。昨今のフェアデッキのアドの取り方はおぞましいものがある。こちらも相応にリソースを確保できるようにしておくべきだ。

で、結局貴様の答えは出たのか?とお思いの視聴者諸兄、メリークリスマス(執筆時12/24)。私の答えは一応出たので、此処にリストを公開することとする

~本編⑤:感謝のデッキリスト公開~

【土地 23枚】
4沼
3神なき祭殿
1血染めのぬかるみ
4汚染された三角洲
3トロウケアの敷石
3ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
1ダクムーアの回収場
3ロークスワイン城
1幽霊街

【クリーチャー 0枚】

【その他呪文 37枚】
2拷問台
3金切り声の苦悶
2致命的な一押し
2血の長の渇き
2思考囲い
4コジレックの審問
3カラスの罪
1塵へのしがみつき

4小悪疫
1精神ねじ切り
1取り除き

4ヴェールのリリアナ
2はぐれ影魔道士、ダブリエル
3未練ある魂
3罠の橋

【サイドボード 15枚】
1真髄の針
2外科的摘出
3虚空の力線
1解呪
2苦花
2太陽のしずく
1漸増爆弾
1バントゥ最後の算段
2石成の荒廃

~後書き:結局のところ、貴様は何がしたかった?~
いやまて貴様、説明していないことが多すぎる、と思っている私のリアルフレンズ達よ。すまない。もう2020のクリスマスイブだ。このデッキリストから私がどんな思いで黒単8rackから手を引いたのかを察して欲しい。全ては現環境に立ち向かう為なのだ。

一応補足しておくと精神迷わせの秘本がメインのドローソースとして候補に挙がっていたのだが、思った以上に面展開に勝てない(それに腹が立った)ので罠の橋を多めに取り、塵へのしがみつきとロークスワイン城でアドを取ることにした。罠の橋を多く取ったのでクロック源を変わり谷等ミシュランからリンリンへ変更、rackも1マナの2種を減らしてPWのダブリエルを採用している。

そしてサイドボード、このアーキタイプで最も弱いハンデスの集団的蛮行から太陽のしずくへ変更、血の長の渇き、取り除きでPW耐性もやや向上したのでその枠を令和の海こと石成の荒廃に、ここはお試し枠なので微調整が入る。

初めてこのアーキタイプを作った時から早三年、当時のゴリゴリのアグロな8rackからよくもここまで大人しくなったものだ。大人しさと強いか弱いかは比例しないがな。いつか対戦する日があれば、あなたのその目で確かめて欲しい。


もういくつ寝るとお正月。来年は穏やかな年であって欲しいと切に祈る。それでは皆様、良いお年を

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